はじめに
妊娠中は免疫力が下がりやすく、インフルエンザにかかると重症化しやすいといわれています。発熱や体のだるさなど「もしかしてインフルエンザ?」と思ったとき、何科を受診すればいいのか、どんな薬が使えるのか、不安が尽きないもの。この記事では、妊婦さんがインフルエンザにかかった場合の適切な受診先や治療法、家庭での対処法、そして予防のポイントまでわかりやすく解説していきます。
妊婦さんがインフルエンザかも?と思ったら
症状からインフルエンザを見極めるポイント
インフルエンザの代表的な症状には、38度以上の急な高熱、関節の痛み、全身のだるさ、寒気などがあります。妊婦さんの場合、症状がやや軽く出ることもあるため、「風邪かな」と思っても注意が必要です。症状が急に現れるのがインフルエンザの特徴で、特に冬場は早めに疑うことが重要です。
妊婦特有の症状の出方とは?
妊婦さんは体調の変化を感じやすく、インフルエンザにかかっても高熱が出ないこともあります。その代わり、強い倦怠感や寒気、頭痛、のどの痛みなどが目立つケースも。普段の体調と違うと感じたら、早めに体を休め、必要に応じて受診しましょう。
受診を急ぐべきサインとは?
高熱が丸一日以上続く、呼吸がつらい、胎動が少なく感じる、などの症状がある場合は、すぐに病院に連絡を。特に妊娠後期は赤ちゃんへの影響も考慮し、判断を先延ばしにしないことが大切です。何かおかしいと感じた時点で、かかりつけの産婦人科に相談しましょう。
妊婦がインフルエンザのときに受診すべき診療科
まずは「産婦人科」に相談する理由
妊娠中の発熱は一見風邪のようでも、母体や胎児に影響する可能性があるため、まずは産婦人科に連絡するのが安心です。産婦人科では、妊婦さん特有の体調や妊娠経過を考慮したうえで、適切な判断をしてもらえます。
「内科」でも対応してくれる?ケースと条件
一般の内科でもインフルエンザの診断・処方は可能です。ただし、妊娠中であることを必ず伝え、妊婦でも使える薬の処方をお願いしましょう。診察予約の際に「妊娠中です」と伝えると、スムーズに案内してもらえることが多いです。(ほとんどが問診の際に聞かれると思います。)
発熱外来や感染症外来の利用について
発熱外来や感染症外来を設けている病院も多く、特に流行時期には一般の外来とは別ルートで診察を受けられる安心感があります。電話で事前に問い合わせて、妊婦の診察が可能かを確認してから向かいましょう。
妊婦へのインフルエンザ薬の使い方
妊婦でも使える薬はあるの?
妊婦さんでも使えるインフルエンザ薬として、タミフルやリレンザなどがあります。これらは妊娠中でも比較的安全性が高いとされています。医師の指導のもとで適切に使えば、重症化を防ぐ効果が期待できます。
薬の種類と胎児への影響の違い
吸入薬(リレンザなど)は体内への吸収が少ないため、胎児への影響も少ないといわれています。一方で、経口薬(タミフル)は効果が高い分、慎重に用いる必要があります。どちらを選ぶかは妊娠週数や症状によって医師が判断します。
処方薬を自己判断で中止してはいけない理由
体調が少し良くなったからといって薬を途中でやめると、ウイルスが体内に残り、再燃したり重症化するリスクがあります。医師の指示通りに最後まで服用し、症状の経過も観察しましょう。
妊娠中にインフルエンザにかかったときの対処法
安静と水分補給を最優先に
妊娠中は脱水に注意が必要です。高熱が出ると体内の水分が奪われやすくなるため、こまめな水分補給を心がけましょう。また、しっかり布団に入って安静にすることが回復への第一歩です。無理に動かず、体をいたわってください。
食事がとれないときの工夫
熱があると食欲が落ちがちですが、消化にやさしいスープやゼリー飲料、経口補水液などで最低限の栄養を補いましょう。食べられる範囲で少しずつ口にすることが大切です。無理に固形物を食べようとせず、体にやさしいものを選びましょう。
家族内感染を防ぐための対策
家族が同居している場合は、マスクの着用、こまめな換気、タオルや食器の使い分けが重要です。特に上の子がいる場合など、家庭内感染を防ぐことが妊婦さん自身の重症化予防にもつながります。周囲の協力を得ることがカギです。
インフルエンザ予防のためにできること
妊娠中でも打てる予防接種について
インフルエンザワクチンは、不活化ワクチンのため妊娠中でも接種可能です。特に妊娠中期以降は重症化のリスクが高まるため、予防接種が推奨されています。事前に主治医に相談し、体調の良いときに接種しましょう。
日常生活で気をつけたい予防行動
人混みを避ける、手洗いうがいを徹底する、十分な睡眠を取るなど、日頃から免疫力を下げない生活習慣を心がけましょう。外出時は必ずマスクを着け、感染経路を断つ工夫も重要です。
家族にも予防接種を勧めるべき?
妊婦さん自身が注意していても、家族から感染するリスクがあります。そのため、同居する家族も予防接種を受けることで、家族全体で感染を防ぐ「家庭内バリア」をつくることができます。
まとめ
妊娠中のインフルエンザは、母体と赤ちゃんの両方に関わるため、早めの対処が何より大切です。症状を感じたらまずは産婦人科に相談し、適切な受診先と治療を受けましょう。薬の使用や日常生活の対処法も医師の指導を受けながら行い、不安をひとりで抱えないことがポイント。予防にも力を入れ、安心して妊娠期間を過ごしていきましょう。